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「ペットボトルのキャップで、子供たちにワクチンを」物申す

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ペットボトルのキャップを回収して、リサイクル業者に売ったお金でポリオワクチンなどを購入し途上国の子供たちに接種するという取り組みが各地で行われています。

集められたキャップは、400個(1キロ)あたり10円でリサイクルメーカーに売却され、ポリオワクチンだと1人分で20円なので、800個のペットボトルが必要だそうです。

そして、この取り組みに大手スーパーのイオングループも回収ボックスを設置し、売却した対価を寄付金として、貧困に苦しむ世界の子どもたちの支援活動に取り組んでいる3つの団体に贈呈する。というキャンペーをスタートさせることになったそうな。

こういった活動が純粋に途上国の子供たちのために行われるのは、とても有意義でりっぱなことだと思うのだが、環境、エコロジーのためということを言うのであれば、、少しばかり考え方を修正することも必要かもしれません。

1人分のポリオワクチンのために必要な800個のキャップというのは、800本分ものペットボトルに使われるということです。ペットボトル、 キャップとも石油原料から製造されており、製造時だけでも地球温暖化の大きな原因とされる温室効果ガスである二酸化炭素を排出することにつながります。
ペットボトルの生産の際には、500ミリサイズで換算すると39グラムの二酸化炭素が排出される計算になります。

したがって、800本分のペットボトルを生産する際には、39グラム×800本=31,200グラム(31.2キロ)、約31キロの二酸化炭素が排出されるということになるわけです。
ペットボトルのキャップ800個をそのまま燃やしてしまえば、6.3キロの二酸化炭素を排出してしまうことになり、燃やさずに再利用することにより確かに二酸化炭素を削減することはできるでしょう。

それでも、いやらしい言い方をすれば、1人分のポリオワクチンのために、31キロの二酸化炭素を排出する製品を受け入れるということにもなります。

リサイクル(英語ではRecycling)とは、本来は循環使用、再循環などの意味を指し、製品化された物を再資源化し、新たな製品の原料として利用する ことですが。ペットボトルに書かれているマークをよく見てもらえばわかるのですが、矢印で書かれた三角形のマークは、矢印がぐるぐるとエンドレスに回るか のように書かれています。
これは、なんども繰り返して使われる資源であるというイメージを持たされます。

技術的には、ケミカルリサイクルと言って、新しくペットボトルを作ることは可能なのですが、現時点では石油から作るよりもコストが掛かってしまうために、飲料メーカーは積極的に利用しよういう考えがあまりないようです。

ペットボトルからつくられるものとしてよく知られているのが、ユニクロでよく売られている「フリース」と呼ばれている素材がありますが、衣類やカーペット などの繊維素材や、クリアフォルダやファイル類、その他のプラスチック容器などの製品に再生できますが、このような形になってしまうと再びペットボトルに することは現実的には不可能といってもいいでしょう。

リサイクルは簡単ではないですが、それでも新しい製品として生まれ変わるというのは理解できます。
しかし、リサイクルというシステムは、良く見えるところだけしか見ていないし、見せられていないのではという疑いも持ちたくなってきます。

PETボトルリサイクル推進協議会の発表によると、2007年度にはペットボトルの回収率は66.3%ということです。しかし、決してリサイクル率ではなく、回収された66.3%のうちのどれぐらいが、リサイクルされているかは発表されてはいません。

ペットボトルの処理のために、自治体によっても違ってきますが、数千万円から、数億円単位もの税金が使われています。リサイクルするということを前提にし て回収されたペットボトルですが、実は自治体などからリサイクル業者が買い取り、粉砕、洗浄、乾燥させた後にかなりの量が中国向けに輸出されているという 事実があります。

自治体で集められたペットボトルは、本当ならばリサイクル協会を通じて国内でリサイクル処理されるのが本当でしょうが、そうでない事実が存在するためにリサイクル率の公表がされていないのではないでしょうか。

昨年放送された「ZERO」という報道番組のなかで、51の自治体にアンケートをとったところ半分以上が、正規のルートではない独自のルートでペットボトルを売却しているという回答を得ました。
正規のルートで売却するよりも、高い値段で売れるのが理由で独自ルートで売ってしまうということなのです。

国内で生産されたペットボトルを100本と仮定した場合、約66本が自治体や企業によって回収されました。
回収された66本のうちの、34本と別のルートから集まった6本を合わせた40本が中国向けに輸出されており、リサイクルに回すことが可能なペットボトルは日本国内には32本しか残らないということです。

これが事実ならば、日本国内でのペットボトルのリサイクル率は32%以下ということになりますが、実際にリサイクルされているのが何パーセントなのかは、前にも書いたように公表はされてはいないのです。

「環境問題のウソ」というベストセラー作品を執筆した、中部大学教授の武田邦彦氏によると、研究室レベルでの計算ですが、リサイクルされるのは、ペットボトル全体の6%程度であるとも述べています。

では、中国に売られていった40本と日本国内でリサイクルに回すことのできそうな32本を除いた28本はいったいどうなってしまったのでしょうか。行方が わからないものも多いと思いますが、一般のゴミとして燃やされたりして廃棄される運命をたどることになったものも相当あるはずです。

さて、ペットボトルのキャップの話に戻りますが、子供たちのワクチンを購入するためにボランティアの一環として活動することはとても尊いことだと思いま す。しかし、キャップを集めてリサイクル業者に売ることで、再資源化を促進し、二酸化炭素の発生を抑制することに寄与するというのは正しくはありますが、 ペットボトルを減らすことにはつながりません。ペットボトルの販売数量は年間で250億本以上とも言われていますが、生産量はこれからもしばらくは増え続 けることになりそうです。

ゴミとして出すときには、リサイクルしているからと環境に気をつけているつもりでも、化石製品を買うことに関してはそれほど抵抗感を持っていなかったりします。

二酸化炭素を削減しようとするのに、もっとも効果的なことはリサイクルではありません。
リサイクルしなければならないような製品をつくらない、使わないということが結果的には大きな効果をもたらすことになるのです。ダイエットにたとえればわ かりやすいでしょう、身についた脂肪を減らすのにいちばん良いのは、口から入るものを制限することです。長い時間運動したり、ダイエット食品や器具を買う 必要もありません。もちろん、運動そのものは健康のためには良いことです。
それでも、やはり必要以上に食べない、腹7分目、8分目で済ませることが重要なのです。

国民1人あたり年間に20本は買っているペットボトル飲料の、1割である2本を買うのをやめ、家庭でつくった麦茶などを飲むことにしませんか。そして、可 能であればペットボトル飲料を買ったつもりの300円を、15人の子供たちのためのポリオワクチンのために使うという考えもできると思います。

1割のペットボトル飲料を買うことをやめれば、2億5千万本のペットボトルを減らすことができます。その分、ペットボトル製造時の二酸化炭素の量を9750トン減らすこともできます。砂糖の入ったペットボトル飲料をやめれば、それこそ健康にもいいかもしれません。

「ペットボトルのキャップで、子供たちにワクチンを」ということに、苦言を呈するという形になってしまいましたが、真意はそこにあるわけではありません。世界の子供たちを助けようという純粋な気持ちにかんしては、肯定はすれどなんの否定もしません。
しかし、環境に良いことをしていると思っていても、実はものすごく環境に悪いこともしているということも知って置く必要はあると思うのです。

そして、環境のためといいながら実は、環境で利権を得ている人たちも存在する。善意で動いている人たちが、うまく利用されているだけだった、ということも起こりうる可能性もあるかもしれない。
そんなことも、考えながら何が一番良いのか考えてみることも大切ではないでしょうか。